M04. バトン

 
【recording data】
word & music 坂本サトル
recorded at Sound Village (2012 山梨県山中湖村)
坂本サトル:vocal, acoustic guitar
渡辺洋一:electric guitar
坂本昌人:bass, chorus
鈴木慎也:drums
柴田俊文:piano
尾崎博志:pedal steel guitar
 
 
【坂本サトルによるセルフライナーノーツ】 
父の四十九日の法要の日、祭壇の前で浮かんだ歌詞とメロディを書き留めてそれを膨らませて仕上げた曲。
2012年の夏に父が末期の膵臓ガンであることがわかって余命半年と診断された。その直後から母はそばにいながら異変に気づけなかったと自分を責めるようになった。結局、父は9ヶ月間の闘病の末旅立ったのだが、その後も母の自責は続いていた。落ち込む彼女のために曲を書こうと思った時に思い浮かんだのは、病院通いに付き添っていたある日、診察待ちのベンチで父が話してくれたことだった。
「お父さんの血はお前たちに半分ずつ残した。そう思うと死ぬことが怖くなくなる」
死とは全ての終わりではなく、命が果てた後にも脈々と受け継がれるものもある。それは血や遺品といった物理的なものものだけではなく、想い出とか教えとか教育などの精神的なものも。そう考えれば失った哀しみや自分を責める気持ちが少しだけでもやわらぐのではないか。
生前、JIGGER’S SONをまたやるんだと伝えると父は「そんな大変なことはやめたほうがいい」と言った。まあ確かに大変だけど、それでも4人でやることに決めたよ俺たちは。
2012年の再結成と同時に制作された復活第1弾シングル。美しいスティールギターは尾崎博志氏。ピアノは1994年以来JIGGER’S SONのほぼ全てのアルバムに参加してくれている柴田俊文氏。感動的なギターソロはもちろん渡辺。アコギは67年製のMartin D-35を使用。
被災地で、大切な人を守り切れなかったことを今も責め続けている何人かの人に出会った。そんな気持ちを消し去ることはできないが、背負った十字架をほんの少しだけでも軽くする手助けができればと思う。

 
 
【坂本昌人】 
JSの「王道」も確実に進化(深化)しています。

 
【鈴木慎也】
まさかの再結成、まさかのレコーディング。久しぶりの4人の会話。森山くんとの出会い。ブランクによる緊張と不安。色々思い出します。

 
【渡辺洋一】
僕は誰かに渡すべきバトンを持っているのだろうか。